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野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向

3. 主な果物の生理機能

l. バナナ

バナナの栽培は1万年以前にさかのぼると言われています。バナナには種がないと思われますが、野生のバナナには堅い種子があります。種子の入らないバナナは、マレー半島で自然発生し、人類の移動とともに熱帯各地に広まり、同時に他の種と交配がおこり、多くの種無しの品種ができたと考えられています。

バナナ

バナナの食品成分的な特徴として、ナトリウムをほとんど含まず、カリウム(360mg/100g)が豊富に含まれていることが上げられます。したがって、血圧降下作用が期待されます。カリウムの血圧に対する作用は、末梢血管の拡張による血管抵抗の減少、水分とナトリウムの排泄、血圧を上げる作用を持つレニンとアンジオテンシンの分泌抑制、ナトリウム/カリウムポンプの活性化、副腎の緊張を抑えるなどの複合的とされています。高カリウム含有食品の摂取は高血圧を予防すると疫学研究で示されています 1)。 また、マグネシウム(32mg/100g)も比較的多く含んでいます。ビタミン類としては、ビタミンB6を豊富に含み、おおよそ1本摂取することで、1日に必要とされるビタミンB6量の20%以上を摂取することができます。

 コレステロールが増えると心臓病などの疾患のリスクが高まります。バナナの果肉を凍結乾燥し、ラットに与えたところコレステロールの低下がみとめられました 2)。 バナナ果肉に含まれているデンプン、タンニン、脂質にコレステロール低下作用は認められず、セルロース以外の食物繊維に認められたことから、バナナのコレステロール低下作用は、食物繊維に由来すると考えられています。

 バナナには、ビフィズス菌を増やす働きを持つフラクトオリゴ糖(0.3g/100g)が含まれています。フラクトオリゴ糖は、小腸で消化されず大腸まで到達し、ビフィズス菌や乳酸菌などの栄養源になり、善玉菌が増殖します。しかし、大腸菌や悪玉菌であるウエルシュ菌には利用されないので、腸内環境を良好に保つ働きがあります。ビフィズス菌など善玉菌が増殖すると、乳酸などが合成され、腸内が酸性になり、腸の蠕動運動を刺激するため排便回数の増加と便性の改善効果が認められています。下痢が持続的に続いている幼児(5〜12か月のバングラディッシュの男性)に、調理した青バナナを毎日摂取させると、摂取させなかった場合に比べて早期に下痢から回復することが報告されており、病院や家庭における食事管理に有効と考えられています 3)

わが国では食生活の西洋化に伴い、直腸・結腸ガンが増加しています。ウルグアイは、直腸・結腸ガンが10万人当たり男性36.5人、女性26.1人と発症率の高い国です。疫学調査の結果、バナナを多く摂取すると直腸・結腸ガンの発生リスクが72%減少すると報告されています 4)。 韓国で行われた結腸直腸がんと野菜・果物摂取との関係を調べた症例対照研究によれば、男性ではバナナなどの果物を多く摂るヒトほど結腸直腸がんのリスクが低いという結果が得られています 5)

タイバンコクで行われた結腸直腸がんのリスク要因に関する症例対照研究によれば、バナナとパパイヤはリスクを下げるという結果が得られています 6)。 スエーデンでの疫学研究の結果では、果物・野菜をたくさん食べるヒトは腎がんのリスクが低くなり、さらに果物で最も強い効果をもつのがバナナであったと報告されています 7)

 動物実験でいくつかの作用が報告されています。バナナの果肉を凍結乾燥し、高コレステロール、高脂肪食とともにラットに与えるとコレステロール値が低下することを認めています。加熱乾燥バナナでは作用認められないので、加熱による褐変と関連があると推定しています。バナナのコレステロール低下作用については、食物繊維に由来すると考えられています 8)。 潰瘍に対する予防効果についてもいくつか報告があります。

タイ北部で栽培されているバナナ2品種の抗潰瘍効果について、ラットを用いて調べたところ、パロおよびホム品種は人工的に発生させた潰瘍を抑え、またホム品種に潰瘍の治癒効果が認められています 9)。 未熟の料理用バナナに含まれるロイコシアニジンは、アスピリンによる実験的潰瘍に対して保護作用を示しました 10)。 未熟の新鮮バナナは、ラットを用いた実験で、人工的な胃粘膜障害を抑制する効果がみとめられましたが、単一の成分による保護作用ではなく、複合的な作用であると考えられています 11)

(文責:小川一紀)


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