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野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向

1. 野菜等個別成分のヒトにおける機能性研究

d. 野菜等の機能性研究結果の食生活への適用

野菜等の成分の機能性として、特に抗酸化作用が注目されています。そして抗酸化成分を手軽に摂取する方法として濃縮物であるサプリメントの利用が行われています(注参照)。しかし、抗酸化サプリメントが一般に思われているような疾病のリスク低減効果をもっているかどうかは、現時点では明確ではありません。最近、消化管におけるガンの発症と抗酸化サプリメント摂取の関係を検討したこれまでの複数の論文を、さらに系統的に評価した報告(13)が出されました。その報告では抗酸化サプリメントに期待する効果は見出せないという結論になっています。また、サプリメントとしてビタミンEやβ-カロテン、ビタミンEを過剰摂取した人では死亡リスクが高くなるといった報告も出されています(14,15)。ただし、この評価についても今後の研究の進展によっては変わる可能性もあります。巷にはさまざまな情報が出されていますが、それらはあくまで現時点で評価できた情報と考えた方がよいでしょう。

上記のこと、ならびに野菜等個別成分のヒトにおける機能性研究の項目abcを考えると、野菜中の個別成分や抽出成分を錠剤やカプセル剤の形態をしたサプリメントとして摂取するのではなく、野菜そのものとして日常摂取する方法が、カロテノイド、フラボノイド、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの既知の成分、ならびに未知の機能成分も同時に摂取でき、より安全に、しかも安価に野菜の機能性を得ることができると考えられます。

野菜等に含まれる成分で食経験があるといっても、濃縮したカプセルや錠剤の形態のものは過剰摂取とそれによる健康被害の可能性を否定できません。また、市場に存在しているサプリメントには、名称は同じでも、品質や規格(成分含量、有害物質の混入の有無)が異なる多種多様な製品があります。品質や規格が明確になっていない製品の利用は、有効性を求める前に安全性が危惧されます。他方、野菜等の食材そのものとして摂取する条件では、食材の持っている容積、食材に対する嗜好性が、特定成分を長期的・連続的に過剰摂取することの歯止めになるため、過剰摂取に伴う悪影響について、それほど神経質にならなくてもよくなります(図4)。野菜等の成分の機能性を安全に有効に食生活に活用するには、日常の基本的な食生活において、野菜等の食材そのものとして摂取することが基本であり賢明な方法と言えます。

図4
特定成分の摂取量と生体影響の関係
野菜等の成分の形態と過剰摂取の関係

通常の食材から摂取するときは、食材の有する「味・香り・体積」と嗜好性により、特定成分を過剰摂取することはほとんどないが、特定成分が濃縮されたサプリメントでは有害影響が出るまでの量を容易に摂取してしまう可能性がある。

(文責 梅垣敬三)


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a. 野菜等のヒトにおける機能性とは |  b. 野菜等に含まれる機能性成分の研究結果の現状 |  c. 野菜成分等の機能性研究結果の解釈 |  d. 野菜等の機能性研究結果の食生活への適用 |  e. 食材の食経験と安全性について

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