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野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向

3. 主な果物の生理機能

r. クリ

秋の味覚の一つであるクリは、稲作伝来以前の日本では東日本を中心としたデンプン質の主食糧で、材木としても利用されていました 1)。 クリはブナ科に属する果樹で、日本以外では、中国、朝鮮半島、ヨーロッパ、アメリカなどで食用として栽培されています。ニホングリ(Castanea crenata)は甘露煮、料理、菓子として、チュウゴクグリ(Castanea mollissima)は焼栗として、ヨーロッパグリ(Castanea sativa)は焼栗、料理、菓子として利用されます。

クリの果肉の黄色はカロテノイドに由来します。クリはビタミンAとして働くα-カロテンとβ-カロテンを含みます 2) が、主たるカロテノイドはルテインです 3)。 自然界には様々なカロテノイドが存在しますが、目の網膜中心部位の黄斑に高濃度に存在するカロテノイドとしてルテインとゼアキサンチンの2成分だけが見出されています 4), 5) 。これらの働きの一つとして、抗酸化成分として紫外線等の酸化ストレスから目を守る働きをしていることが考えられています。

脂溶性の抗酸化ビタミンのビタミンEはトコフェロールとも呼ばれ、メチル基の数や位置によりα、β、γ、δの4種類があります。果実から摂取できるトコフェロールのほとんどはα-トコフェロール(AT)ですが、クリの主たるトコフェロールはγ-トコフェロール(GT)です 2), 6)。 ビタミンE活性はATが最も高いことが知られていますが、GTの機能性も注目されています。アメリカで350人の男性を対象にした症例対照研究では、血液中のトコフェロール濃度と前立腺ガンの関連が解析され、ATとGTの両方とも濃度依存的ではないものの血中濃度が高いほど罹病リスクが下がる傾向があり、さらに、GTは統計的に有意にリスクを下げるという結果を出しています 7)。 メタボリックシンドロームの被験者を対象にしたヒト介入試験では、ビタミンE(800mg/day)をATやGT単独で摂取するよりもATとGTを混合して同時摂取した方が血中酸化ストレスマーカーの軽減効果が高いという結果を出しています。このことから、ビタミンEとしてATとGTの両方を摂取することが酸化ストレスの消去に効果的であることが示唆されています 8)

 クリの渋皮は加工時に廃棄物となります。渋皮のエタノール抽出物はポリフェノールを豊富に含み、α-アミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼの酵素活性を濃度依存的に阻害し、さらに、糖負荷試験により濃度依存的な糖吸収抑制効果と血糖値上昇抑制効果があることが動物およびヒトレベルで確認されています 9), 10)

(文責 野口 真己)


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