Vol.9 第4回ファイブ・ア・デイ国際シンポジウム開催
【31カ国以上が参加した過去最大規模の盛会に

  野菜・果実の摂取がさまざまな慢性疾患予防に効果的であることを科学的な根拠として、「健康増進の為に野菜・果実を毎日5サービング以上食べよう」と呼びかける、ファイブ・ア・デイ事業の国際シンポジウムが、2004年8月8日(日)〜10日(火)の3日間、ニュージーランド南島のクライストチャーチ市内で開催されました。
本国際シンポジウムは1998年にアメリカ・ワシントンDCにて世界10カ国の関係者を集めて第1回目が開催されましたが、これ以降、回を重ねるたびに参加国および参加者が増大。第4回目にあたる今回は、31カ国を代表する200名以上が一同に会する過去最大規模の盛会となりました。
 第4回国際シンポジウムのゴールは「ファイブ・ア・デイの世界化推進」であり、このゴールの達成に向けて学校、職場、売り場、地域社会における野菜・果実供給量を増大させるための環境作り促進、科学的根拠及び政策にかかわる世界レベルでの理解向上促進、健康増進を目的とした野菜・果実摂取量拡大事業の設立あるいは官民連携をはかろうとしている国々の支援など6つの行動目標が設定されました。

ファイブ・ア・デイ事業へのWHOの支援がさらに明瞭化
第4回世界大会のいちばんの特色は、世界保健機関(WHO)による強力な支援を受けて成立したことです。世界保健機関(WHO)は2003年1月にベルリンで開催された第3回国際シンポジウムにおいて、すでにファイブ・ア・デイ事業支援の立場を明らかにしていましたが、今回の大会ではそれがさらに明瞭化されました。


野菜・果物摂取と肥満予防との因果関係解説される
シンポジウム前半では、野菜・果物の摂取促進における各国の政策及び戦略と慢性疾患、なかでも肥満予防と野菜・果物摂取の関係が科学的・疫学的観点からの討議がなされました。
世界保健機関(WHO)の慢性疾患・健康促進部ディレクター、ロバート・ビーグルホール博士は『2002年世界保健報告』で野菜・果物の摂取不足は、世界の死因につながる危険因子のトップ10(その他、高血圧、喫煙、コレステロール、運動不足、アルコール等が危険因子としてランク入りしている)で、これを世界規模で捉えると約270万人の生命が野菜・果物の摂取により救われる可能性が示唆され、慢性疾患、特にがん、循環器疾患、肥満、糖尿病の予防に野菜・果物の摂取が効果的であることが多くの研究で明らかにされていると報告しました。
こうした野菜・果実摂取量の拡大が慢性疾患予防に役立つというデータに加え、さらにこれが肥満予防にも貢献することを示唆するデータが今シンポジウムでは数多く紹介されています。
  セイダ・バーネット博士からは、野菜・果実を主要食材のひとつとする伝統的地中海式ダイエットを励行した子供たちは、励行しなかった子供たちと比較して、肥満率、タイプ2糖尿病発生率がともに低かったという研究結果が発表されました。また米国保健省疾病調整予防センターのメリー・サドゥーラ博士からは、野菜・果実を豊富に摂取したグループは、そうではなかったグループと比較して、より多くの体重減量を達成したという研究結果が発表されています。
 野菜・果実はエネルギー密度が低い食品の典型であり、たくさん食べても摂取カロリーは少なく、それでいて満腹感を与えるので、食品摂取総量を減退させ、結果として肥満防止あるいは体重減量に貢献するというのが大会に出席した研究者たちの多くに一致した見解でした。しかし、肥満防止・緩和は単に野菜・果実摂取量を増大するだけで達成されるわけではなく、同時に脂肪、糖分及び炭水化物摂取量を少なくし、さらに毎日適度に運動してエネルギー摂取総量に匹敵するエネルギー発散を行うことで、はじめて効果が現れることも多くの研究者によって指摘されました。

各国の取り組み事例に学ぶ
 シンポジウム後半では、各国のファイブ・ア・デイ事業への取り組みが紹介されました。
 政府がファイブ・ア・デイ運動を積極的に支援している事例として米国、ニュージーランド、オーストラリア、そしてバヌアツの4か国が紹介されています。いずれの国も、国民の野菜・果実摂取量が適正量に達しておらず、慢性疾患及び肥満発生率が急上昇しているという現状を抱えています。こうした中で連邦政府・保健担当省のリーダーシップのもとに、農務担当省、青果産業、栄養医療組織、教育機関等が連携して野菜・果実摂取量拡大に基づく国民の健康増進が図られています。ファイブ・ア・デイ推進は、国民の健康を増進するのみならず、医療経費の大幅減退にも貢献しており、そうしたこともこれらの国々の政府が本事業を支援するひとつの主要な背景となっています。
 また学校、職場、小売現場等における野菜・果実摂取拡大に向けたさまざまな実践事例は、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、メキシコ、デンマーク、マレーシア、フランス、ノルウェー、香港等の代表により多数紹介されました。
 アメリカの学校で実施されている「野菜・果物無料配布プログラム」は2002年に実施された試験事業の結果をもとに確立されたもので、2004年度以降、毎年900万ドルの予算で全米8州内の14万人の小、中、高校生を対象として野菜・果物が提供されることが法制化されました。この事業の試験対象となったほぼすべての学校で、毎日の食べ残しがほぼ皆無であり、さらに売店や自動販売機での糖分、脂肪分含有量が高い菓子類購入量が激減、その上、家庭での野菜・果実摂取量も増大したことが報告されました。
 また職場で従業員に無償の生鮮フルーツを提供するというアイディアは、近年日本でも注目されているCSR(企業の社会的責任)、従業員の健康維持に積極的に取り組む活動として、デンマークがん学会のモートン・メーヤー代表 が先導するシックス・ア・デイ(6 A Day)事業によって2000年に導入されました。 本事業はごく少数の職場を対象として開始されましたが、無償で生鮮果実の提供を受けた従業員はもとより、経営者の多くからも高い評価を勝ち得ています。その結果、がん学会による介入と資金援助が終了した2001年以降も、自己負担で事業を継続する会社が続出し、現在全国総数の9%に相当する9,288の職場で、経営者負担によるフルーツ無償提供事業が推進されているということです。わずかな出費で従業員に喜ばれ、会社イメージ向上に役立ち、有能な従業員の保持・取得に役立つ。また従業員の健康状態が向上し、病気欠勤は減少、そして生産性向上につながったことなどが、この事業が経営者に受け入れられた主な要因として報告され、シンポジウム参加者からも大きな関心を集めていました。

ファイブ・ア・デイ事業の世界化に向けて一歩前進
第4回国際シンポジウムでは、世界中の関連諸団体が、インターネット上で資料、アイディア等を分かち合うことができる仕組みを作り上げることが決議され、その枠組み作りに向けた有志の委員会が成立しました。またファイブ・ア・デイ事業ロゴ及びメッセージは、現時点では各国別々に設定されていますが、これらを全世界で統合し、世界共通の事業ロゴとシンプルなメッセージを作り上げようという提案も、複数の参加者から出されました。
この第4回国際シンポジウムはファイブ・ア・デイ事業のグローバル化を促進する上で、大きな一歩となりました。

 
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