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▲記念講演
独立行政法人 国立健康・栄養研究所 理事長 東京医科歯科大学 名誉教授
田中 平三氏 |
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日本がまだ貧しかった1950年当時の年齢別死亡数をみると、0歳、20歳、70歳の3か所にピークが認められます。その内訳はそれぞれ「出産にまつわる死亡(乳児死亡)」「偶発的原因による死亡(結核など感染症、事故・自殺)」「老化による死亡(脳卒中、虚血性心疾患、がんのような生活習慣病)」となっています。 しかし近年(1995年)になると、乳児死亡、結核、そして急性感染症、低栄養が克服され、0歳、20歳のピークは消失してしております。死亡分布曲線は、35〜40歳から緩やかに上昇し、70〜80歳でピークとなり、その後、急激に下降。これはすなわち生活習慣病が死亡分布曲線の大部分を占めていることを意味します。35〜65歳における早期死亡は、遺伝要因に加えて、食事、労働・運動、喫煙、飲酒等の生活習慣によることが明らかになっておりますので、生活習慣を適切に営むことによって、生活習慣病の罹患をできるだけ遅延させることが重要であると言えるでしょう。
●生活習慣病予防と野菜・果物摂取の関連性
野菜・果物は、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれているほか、さまざまなフィトケミカルが含まれており、抗酸化作用、免疫機能強化等の効果があることから、生活習慣病に対し予防効果があるとされています。
野菜・果物が、代表的生活習慣病である脳卒中や虚血性心疾患、また部位によっても異なりますが、がんのリスクを低下させるとする疫学的研究は多くでています。
「食生活指針」に示されているように、主食、主菜(蛋白質)、副菜(野菜)、果物をバランスよく摂取することが生活習慣病の予防につながり、ひいては、長寿につながるのです。
●野菜・果物摂取量の目安
「健康日本21」では、国民の生活習慣病予防の観点から、一日の野菜摂取量を増加させようと、一日の野菜摂取量を350gとしています。この350gという基準は、食物繊維、ビタミンC、カリウムなどの栄養素を一日に必要なだけ摂取するために、どれだけの野菜を食べればよいかという見方から導きだされたものです。
しかし現状での野菜摂取量を見ると50・60代の人たちは350g近く摂取できているのですが、若年層では非常に少ない。そこで「5 A DAY」のように一皿70gの量の野菜が摂取できる料理を一日5皿食べましょう、とわかりやすく伝える動きがでてきました。
また、果物は200gの摂取が目標となっておりますが、これも野菜と同じように、若い人では摂取不足の状況です。一日みかんなら2個、りんごなら1個を目安にさまざまな種類の果物を食べるようにしてほしいと思います。
野菜一皿70gのような単位をサービングザイズと言いますが、日本ではまだこのような考えが普及しておりません。サービングサイズが明示されたメニューをレストランでだしてもらったり、デパートの惣菜売り場で70gの倍数に小分けしたものを販売してもらったりすることで、一般の人にも理解が広がるのではないでしょうか。
●まとめ
ご飯という主食を維持し、さまざまな食べ物をバランスよく摂ってきた『日本人の食生活のいいとこ取り』が、健康で長生きするようになった大きな要因です。
しかし、現代の若者は食生活が乱れ、生活習慣病罹患の危険性と隣り合わせとなっています。現在不足しがちな、またさまざまな疾病を予防する可能性が高い、野菜や果物をきちんと摂取し、バランスのよい食生活を送ってほしいと思います。 |