「1日に5品(400g)の果物や野菜を食べましょう」と米国で始まって、世界的に広がった食生活改善策『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』プログラムの国際シンポジウムの第2回目が、1998年10月に次いで2001年1月にワシントンで開催されました。
同シンポジウムには、19カ国の130人の代表が参加。参加国は、オーストラリア、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ガーナ、ハンガリー、日本、レバノン、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ペルー、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国および米国でした。このシンポジウムはカリフォルニア州のドールフードカンパニーおよび農産物マーケティング協会(以下「PMA」という)のサポートにより実現したものです。
『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』プログラムとは、1991年に国立癌研究所と消費者団体が提唱、官民一体となって推進している食生活改善策です。米国での成功をもとに、各国がその国に合わせた『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』プログラムを展開しています。国際シンポジウムでは、各国の活動の紹介、情報の提供が行われました。
【開催主旨】
健康については、公共部門と民間部門が協力しながら果物や野菜の消費量を増やす必要があり、また多くの国々がアイデアを交換しながら『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』タイプのプログラムが成功するよう助け合わなければなりません。このことはワシントンDCのワシントンモナークホテルで1月7日から9日に開催された健康増進のための農産物財団(PBHF)および国立癌研究所(以下、「NCI」という)の第2回ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)国際シンポジウムの中心テーマになりました。シンポジウムの主要な結論として、果物と野菜の摂取を増やす方法について、情報を交換する政府の代表者や数十カ国のNGOの代表者で構成する『国際ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)ネットワーク』を設置することになりました。
【講演内容】
基調講演で、第16代目米国公衆衛生局長、保健長官補佐のディビット・サッチャー(David Satcher)医学博士は、
1.人々の話をよく聞くことによって、人々がどんな食生活をし、どんな健康状態に置かれているかを理解する。
2.地域社会において協力者を開拓することで、リーチするのが困難な階層、集団にメッセージを伝達すること。その際、国家レベルの協力体制を手本にし、戦略的に、政府がパートナーシップの基盤を建てるという方法もある。
3.マスコミの権威の協力を得て公衆衛生のメッセージを伝達する。過去のプログラムにおいて、権威ある食関係の著名人の協力を得た。
とコミュニケーションの重要性を述べました。
シンポジウムの会場では、公共部門と民間部門が協力し、消費者の食事行動を変える方法を説明するパネルを展示し、1月7日の「国際ショーケース」と称する展示では、18団体の卓上ディスプレーで果物や野菜の消費量を増やすプログラムが説明されました。カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ハンガリー、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、英国および米国を含む12カ国が展示しました。米国からの団体には、当財団、NCI、アメリカ癌協会、米国海軍/海兵隊、ドール、およびカリフォルニア州保健局が含まれていました。これらの団体は印刷物やテレビ広告に始まり、教育用コンピューター・ソフトウェア、栄養カレンダーのパンフレット、研究などの資料を数多く展示しました。
1月8日のプレゼンテーションやパネル・ディスカッションでは、NCIの癌抑制およびポピュラーサイエンス部門ディレクターのバーバラ・ライマー(Barbara Romer)博士は、NCIなどで行われている研究調査の最終目標とは、公衆衛生の向上です。私たちは、多様なさまざまな年齢、文化グループを含む、多様な集団にリーチする必要があります。それらのなかには、食べ物や嗜好の違った人々も含まれます。食べ物の嗜好の違いや喫煙嗜好などは、社会的要因、経済的状況、文化的要因、政治的背景、心理的要因、個人的性格(例えばストレスのレベル)、遺伝子などによる生物学的要因が、相互に作用し合って生じる典型的な生物行動モデルです。これらのすべての要因が、程度差こそあれ、癌、糖尿病、心臓病のリスクを高めていると言えます。『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』研究は、今日のコミニュケーション傾向を反映して、情報を達成目標にするのではなく、人々に合わせた情報を提供するという点が創造的なのです、と述べました。
【パネルディスカッション】
第一セッション「画期的な世界レベルのコミニュケーションを目指して」
米国際開発機関(USAID)の上級技術顧問の、スコット・ラッツァン(Scott Razan)医学博士兼行政局長は、コミュニケーションを活用し社会が食事習慣および社会行動を変える「保健機能」の重要性を強調しました。当財団のプログラム担当のバーバラ・ベリー(Barbara Berry)副会長は、デンマーク癌協会のモートン・ストラング・マイヤー(Morten Strunge Meiyer)プロジェクト・マネージャー:カナダ農産物マーケティング協会(以下、「CPMA」という)のマーケティング担当のロン・ルメール(Ron Lemaire)執行副会長兼理事:およびレバノン厚生省(MHL)の保健教育局(HEU)のペギー・ハナ(Peggy Hanna)局長からなるメンバーでパネルディスカッションを開催しました。 ストラング・マイヤー・マネージャーは「1日3回果物と野菜をそれぞれ食卓に出すことを進める、デンマークの6 A DAYプログラム」を説明しました。「認識を深めても必ずしも摂取量の増加につながらない」と注意を喚起しました。デンマークのプログラムは質と便宜性の改善を目指すとともに、学校を通じ子供たちに情報が届くよう務めています。10月の「学校果物デイ」を通じ、デンマークの小学校児童の約60パーセントにリンゴを配りました。 CPMAのマーケティング担当のロン・ルメール副会長はパートナーシップ、特にメディアとの協力の価値について語りました。CPMAはカナダ癌協会および心臓および脳卒中財団(HSF)と協力し、世界最古の『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』タイプ・プログラムのひとつである、5から10 A DAYプログラムを実行しています。費用、便利さおよび味が重要な要素になります。テレビ、ラジオおよび印刷物の配布により、この5から10 A DAYメッセージは30億人以上の消費者に届きました。「パートナーを確保しなければならない」と語りました。「メッセージはシンプルなものがよい」と、ハナ局長は果物や野菜の摂取量を増やす難しさについて発展途上国の見解を述べました。「われわれは優先順位の異なる国に属する」と語りました。『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』タイプのプログラムはまだ確立されていませんが、「カルシウム・プラス」運動によりレバノン市民は栄養や果物とか野菜を食べる重要性を学んでいます。ハナ局長は他の諸国の文献を取り上げて、この運動を説明しました。
第二セッション「行動変化を促すための栄養政策を利用する」
「疾患抑制および予防センター(CDCP)の栄養および身体運動部門の担当理事のウィリアム・ディーツ(William H. Dietz)医学博士は、米国の全国的栄養政策発展の軌跡を追求し、如何にして強固な科学知識、行動変化プログラムおよび政策が合体し独自の機会を作り上げたかを示しました。「今日、われわれは我が国で総合的な全国的栄養政策の確立に取り掛かる絶好の機会に恵まれています」と語りました。ディーツ博士は世界保健機構(WHO)の欧州地域栄養局長のセシル・クナイ(Cecile Knai)公衆衛生修士:スウェーデンのNOVUH宇宙生物学部予防栄養課のアニエッタ・ウングヴィ(Agneta Yngve)女史:および英国心臓財団保健促進調査研究グループ(BHFHPRG)のマイケル・レイナー(Michael Rayner)医学博士からなるパネル・ディスカッションの議長を務めました。クナイ局長はさまざまな地元果物や野菜を食べる重要性を各国が強調するのにWHOの技術支援がいかに役立ったかについて語りました。ウングヴィ女史は、欧州連合による農業と栄養政策への合同アプローチへの参画について説明しました。レイナー博士はこれらの政策について詳しく述べるとともに、各国ごとに消費レベルが異なるため、『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』のような特定の数値をベースにした単一プログラムを設定することは不可能だと主張しました。ギリシャ人はすでに10 A DAYを実行していますが、多くの東欧諸国の人たちははるかに遅れています。全欧州各国にまたがる立派な比較研究データが不足しているため、事態は複雑になっています。
公共部門と民間部門の連携が1月9日のセッションのテーマになりました。カリフォルニア州保健局のスー・フォスター(Sue Forester)公衆衛生修士は健康増進農産物財団のエリザベス・ピボンカ(Pivonka)会長:NCIの『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』プログラムのグロリア・スティブル(Gloria Stables)理事:Doleの栄養と健康プログラム担当副社長のローレライ・ディソグラ(Lorelei DiSogra)教育学博士:ニュージーランドのユナイテッドフレッシュ(United Fresh)のポーラ・ダッドリー(Paula Dudley)5+キャンペーン・マネージャー:英国保健局の冠心臓病・脳卒中予防支局のイモジェン・シャープ(Imogen Sharp)責任者:および果物と野菜局(ニュージーランド)のマージャ・スラッグモーレン(Marja Slagmoolen)上級プロジェクト・マネージャーによるパネルの議長を務めました。欧州連合の加盟国および非加盟国は、会合を持ち学校でさらに多くの果物を提供する共通アプローチについて意見交換しました。8カ国の『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』コーディネーターはNCI、本財団および他のグループの代表者とミーティングを持って米国の『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』について意見を交わしました。
シンポジウムのあと、12カ国以上の代表者が集まり、国際『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』ネットワークを設置しました。コミュニケーションの主たる手段はこの新しい国際『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』ネットワーク・ウェブサイト(http://www.5aday.com/)を通じることになります。このウェブサイトは全世界各国の果物およびと野菜の消費量を増やすための最近の活動に関するさまざまなディスカッションの話題、研究調査発表およびその他のコミュニケーションのフォーラムになります。このウェブサイトはデンマーク癌協会、保健増進のための農産物財団およびNCIにより設置されました。
第2回ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)国際シンポジウムで討議された共通テーマは以下の通りになります。
- 経験を共有し、またまた国際ファイブ・ア・デイ(5 A
DAY)ネットワーク・ウェブサイトを通じ、コミュニケーションを図るために新たに設置された国際ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)ネットワークを通じ、対話を維持する。
- 政策の枠を超えコミュニティに働き掛ける。
- 資源を最大限に活用するために政府および非政府組織と連携する。
- 経験を通じ学ぶ。
- 健康メッセージが消費者向けの圧倒的なメッセージにならないようにしなければならない。そうではなく便利さ、味、および手頃さを強調する。
- 多くの国々で流通が困難な障害になる。アクセスおよび入手のし易さの問題に取り組まなければならない。
- 政府も、産業界も、また保健コミュニティもそれぞれ単独では果物や野菜の消費量を増やすことはできない。
- 全ての国に有効な『ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)』の「5」などのようなひとつの共通する数値は存在しない。なぜなら各国ごとに消費レベルはそれぞれ異なるのだから。
- 「ひとつの規模が全てに適応する」というようなアプローチがあらゆる国に通用する訳ではない。つまり、さまざまな背景を持つ参加者との連携が問題の解決策を決める際に役立つことになる。
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